北朝鮮からの脱出ルート

ヨンスの脱出ルートとジュニの脱出ルートは違っています。北朝鮮からの脱出ルートはいろいろあり、日本へも日本海を使って渡って脱北者もいます。朝鮮戦争直後には、漁船を使って集団亡命が数多く行われていました。

韓国との軍事境界線38度線を直接突破する人もいますが、その途中の高圧電線や地雷で命を落とすことも多いということもあって、軍事境界線を越えての亡命ルートは主流の亡命ルートではありません。

亡命ルート

一番多い脱出ルートは、北朝鮮から中国への脱出するルートが多いといわれています。中国と北朝鮮の国境には、国境警備兵と呼ばれる兵士がかなりの数で見張っていますが、大半の兵士も生活が苦しいので賄賂などを渡したりすれば見逃してくれたりします。また賄賂を渡さなくとも、巡回の時間などを見計らって兵士の目を盗んで脱出する者が多いといわれています。

大抵は川幅が狭くなっていて、冬には豆満江も凍ります。凍結する豆満江を渡ったり、夏場には泳いで渡り、延辺朝鮮族自治州の朝鮮族に匿われて中国内で潜伏生活を送ります。

中国政府は脱北者を難民とは認めていないので、中国へ渡ることができても中国当局に見つかった場合に、不法入国者として北朝鮮に送還する協定を中国と北朝鮮は結んでいることもあって、まず潜伏生活を送ります。

第三国を目指す

中国への潜入に成功した脱出者の中の人たちの一部で、中国にある各国大使館や外国人学校などに逃げ込んで、各国の助けを求めます。駆け込みしたあと多くの人たちが韓国に亡命申請をします。

ジュニのように、モンゴル経由の亡命もありましたが、最近ではモンゴル経由しようにも国境付近で中国側の摘発が厳しくなっていることあるため、最近では中国には長い期間潜伏生活をすることはしないで、中国をすばやく通過して、東南アジア経由(ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマーなど)やカザフスタン経由で、第三国に亡命する人が増えています。

船を使って、黄海や日本海を通って韓国や日本に向かうルートがあります。韓国へ行く場合は、海軍の厳しい警備を潜り抜ける必要があり、日本へ行く場合は日本海は波が荒いので、荒れた海を越える必要があります。

中国船で出港して、黄海で協力者の韓国船に乗り換えて韓国に亡命するケースも複数見られています。さらには、韓国軍の警備をすり抜けて韓国の仁川市まで泳いで渡り、民家に駆け込むケースもごく稀にあります。

韓国へ亡命してから

第三国経由で無事に韓国へ亡命できたとしても、なかなかうまく韓国社会へ溶け込むことは難しいのが実情のようです。脱北者の中でうまく韓国社会で成功している人もいますが、なかなかうまく適応できない人たちも大勢います。韓国に亡命申請してからすぐに韓国で日常生活を始めるのでなく、韓国政府が用意した教育施設で資本主義社会の生活を数週間から数ヶ月学んでから、一般社会へと入っていきます。

韓国での生活

脱北者の多くは、北朝鮮出身者のコミュニティを形成します。そして新しい亡命者の手助けをしている人もいます。北朝鮮で高い地位にいた人や、要職についていた亡命者の場合は、暗殺の危険ということもあるため整形手術で顔を変えたり名前を変えたりしています。

実際に暗殺された人もいます。金ファミリーからの亡命者で、本名は李一男(イ・イルナム)で改名した名前は李韓永(イ・ハニョン)です。彼は金正日は伯父にあたる人物ですが、キムファミリーということもあって北朝鮮では恵まれた生活を送りジュネーブへ留学していましたが、1982年に韓国へ亡命しています。亡命してからは整形をして別人の顔になり、改名もしていましたが金ファミリーに関わる暴露本を出版したことなどもあり1997年2月15日に頭部に2発の銃弾を受けて暗殺されました。

普通の脱北者の場合は、整形や改名する必要はありませんが資本主義社会に馴染むことができずに、非行に走ったりする人たちもいます。脱北者した人達は支援金を韓国政府から受け取りますが、脱北者の5人に1人が支援金を狙う詐欺の被害に遭っていて、たちまち生活が成り立たなくなってしまう状況に陥ってしまいます。政府から受け取る住宅支援金は約92万円と定着支度金の42万円。韓国での生活をスタートするのに、ある程度まとまった金額ではなりますが、資本主義に慣れていないこともあって普通では韓国で詐欺にあう割合は0.5パーセントですが、そのお金目当てでコロッと騙されてしまう人たちがいます。

定職に就ける人たちの割合も5人に1人に過ぎない状況から、脱北者のやく半分の5割の人たちが生活保護を受けているのが実情で、脱北ブローカーへの謝礼を支払ったり北朝鮮へ残している家族への仕送りなど、生活はさらに圧迫しています。仕事に就けたとしても、アルバイトなどの雇用不安を抱え技術職といった専門職へ就業できる人はほんの少しの限られた人です。

脱北者の子供を巡る環境も厳しくなっています。子供の多数が進学した学校でも授業についていくことが出来ずに退学していて、高校への進学率は10%と非常に低い割合になっています。北朝鮮から来たことが、イジメの原因にあっていることも多いようです。同じ民族とはいっても、朝鮮語特有のアクセントが差別の原因になっているようです。このような厳しい韓国社会での生活から、北朝鮮へ戻りたいという脱北者も増えてきています。

そして北朝鮮でも差別を受けていながらも、命を賭けて渡ってきたにもかかわらず韓国でも差別を受けるのだ。という理不尽な思いを持つ人たちも大勢います。北朝鮮で高い地位についていた人たちは、韓国政府からも厚遇されます。そして韓国での生活も高い地位にいた人たちは、北朝鮮での生活と同じように韓国でも優遇されるということに納得がいかないようです。

イメージを変える美女

韓国での生活に馴染めない脱北者もいますが、脱北者の女性が登場するバラエティー番組が韓国で話題になっています。「恋のから騒ぎ」の韓国版ですが、北から脱出してきた女性がひな壇へあがり、北朝鮮の実情とどんな手段で脱北したのかを話しますが、バラエティ番組ということで重たい内容ながらも、明るい番組になっています。

北朝鮮で覚えた凄腕のパフォーマンスを披露したり、北朝鮮ならではの歌やダンスを披露して大人気になっています。彼女たちは韓国人の北朝鮮からの脱北者へ偏見を変えるために一役買っていて、番組の中に登場する女性の中で大人気になる女性も登場してきています。