クロッシング:あらすじ ヨンスの決断

ヨンスが住んでいる炭鉱の町は北朝鮮でも北の咸鏡南道(ハムギョンナム)のコウォンから豆満江を目指します。豆満江は中国と北朝鮮を分ける国境線で、北側は中国吉林省で朝鮮族自治州です。南岸が北朝鮮咸鏡北道(ハムギョンプクト)です。北朝鮮を脱出する脱北者が越境する地帯ということもあり、朝鮮人民軍の厳重な監視下に置かれています。ヨンスは豆満江を渡って中国朝鮮族自治州を目指そうとしました。 

クロッシング:あらすじ ~ヨンスは中国へ

ヨンスは妻の妊娠と結核。薬をなんとしてでも手に入れようとします。頼りにしていたサンチョルもいなくなり、もう誰も頼ることはできません。それに北朝鮮にこのまま残っていたとしても、まともに子供や妻に食べ物を持ってくることさえもできないからです。中国へ渡り短期間である程度のお金を稼ぎ、そして何でも買うことができる中国で妻の薬を手に入れて再び北朝鮮へ戻ろうと決めます。自分が留守にしている間、妻と子供が飢えないように準備を整えて目指すは中国です。

中国でお金を稼いで北朝鮮へ戻るはずだったのですが、いろいろなことがヨンスに降りかかってきます。どうしてヨンスは韓国へ亡命してしまったのでしょうか?!ヨンスが望んで亡命したのでしょうか?

中国へ・・

ヨンスはあることを決めました。行動に移します。まずサンチョルの家にあった中国製のテレビを持ち出して、市場で売買してお金を手に入れます。手にしたお金で食料を買い込みました。

決めたこと、それは中国行きです。妻の薬を手に入れるために中国へ行くことを決意しました。ヨンファとジュニがヨンスが留守の間食べていけるようにと、食料を買い込んでいたのでした。

そんな夫の姿をみてヨンファは心配で仕方ありません。「本当に中国へ行くの?」という妻の問いかけに 「ここで飢えるよりはマシだ。」とヨンスは言い放つのでした

もちろんジュニも父のことを心配しています。ジュニに言い聞かせます。「父さんはすぐに戻るから。ジュニのサッカーボールと靴を買って戻ってくる。戻ってくるまでの間、ジュニはお母さんの面倒を看る自信があるだろう?」ジュニは父の言葉に頷いて、父の代わりにお母さんの世話すると父と息子で約束をするのでした。

中国と北朝鮮の国境を分かる豆満江です。ヨンスは豆満江を渡って国境越え試みるのですが、川の中で目にしたものは脱北に失敗した者たちの遺体です。

遺体を目の当たりにして、ヨンスはゾっとします。そんなヨンスに小声で声をかける人がいました。それはヨンスと同じように脱北を試みている老人の声でした。

その時です!脱北しようとしていることを北朝鮮の警備兵に見つかってしまいます。警備兵に見つかってしまった老人は捕まってしまいました。ヨンスは老人に自分のことは黙っていてくれるよう懇願します。ありがたいことに、老人はヨンスのことは警備兵に話しませんでした。老人が警備兵にリンチを受けている声と老人の叫び声を聞いて、ただただ恐怖に震えているのでした。

なんとかヨンスは脱北することができました。そして中国の材木伐採場で働き始めます。木材伐採場で肉体労働で働く仲間は、ヨンスと同じく脱北して北朝鮮から逃げ出してきた者ばかりです。ヨンスは毎日、汗水流し妻や息子のためにひたすらお金を貯める生活を送ります。

ヨンスが毎日必死に働いている間に早くも、2ヶ月近くが過ぎようとしていました。北朝鮮の家では、すでに蓄えていました。食料も尽いてしまい、 妻ヨンファの病状も悪化するばかりで、ヨンファは生も根も尽きていました。

労働に明け暮れるヨンスですが、そこへ公安が脱北者たちの取り締まりにやってきました。中国の公安に掴まば北朝鮮へ送り返され、待つのは収容所行きです。公安から逃げ惑う北の仲間たちですが、次々と捕まっていきます。なんとかヨンスは公安から逃げ延びることができましたが、お金をしまっていたウェストポーチを逃げ惑う間に落としてしまったのです。必死で稼いで手にした全財産をヨンスは失い「手ぶらでは、家に帰れない・・」とうなだれていました。

そんな時に、脱北者をサポートするブローカーがヨンスの前に現れます。ヨンスにブローカーは、おいしい話を持ち出しました。それは、ある場所に行ってそこでインタビューを受けるだけでお金を払うという話です。

そんなおいしい話を聞いて、みんなは疑ってかかります。そんなうまい話!どうせ騙されて腎臓を売られるんじゃないのか。公安に捕まって死ぬんじゃないのか。

しかし今のヨンスには失ってしまったお金が全てです。喉から出るほど欲しいお金。ヨンスはブローカーの話を受け入れることにしました。

その頃北朝鮮では、自分の死期がもうそこまで来ていることを感じていたヨンファは、ジュニに自分の指輪を預けます。「これは結婚する時に、ヨンスがくれたもの。ジュニあなたが持っていなさい」

ジュニは母が言わんとする意味を感じ 「どうしてそんなことを言うの!」と母に泣きすがります。ヨンファは「母さんのせいで、可哀想なジュニ。ごめんね・・」と、いまだに帰らない夫を思い、そして息子に一人残すことになること詫びながら涙を流しているのでした。

大使館へ駆け込み

ブローカーの話しを受けて入れたヨンス達30人ほどの仲間たちと、中国瀋陽にあるドイツ領事館に駆け込みます。これはインタビューを受ければお金がもらえると信じていましたが、脱北支援団体が行う韓国への亡命の手助けをするブローカーだとは知らずに・・・ヨンスたちは公安の警備の手から逃れて、無事大使館の中へ侵入することに成功しました。

北朝鮮では、食べ物を欲しているジュニは物乞いをする孤児たちをみつめています。そしてジュニも孤児たちと同じように物乞いをして食べ物を手に入れています。物乞いをしてようやく手に入れた食料を、病気の母に食べさせようと、ジュニは意気揚々と家に戻りますが、既に母は息を引き取っていました。ヨンファの遺体は、役人たちの手で搬出されます。ジュニは泣き叫びながら「連れていかないで! 母さんを守るって父さんを約束したんだ!」と母の遺体を載せたトラックを追いかけていくのでした。

ドイツ大使館に駆け込んだヨンスたちは記者会見を受けていました。自分の顔がテレビに顔丸出しで映っていることに驚愕します。そしてまさか、自分が【亡命】させられるなどとは 夢にも思っていませんでした。そうです。ヨンスはブローカーに騙されていたのです。NGOは北朝鮮の飢餓などの問題を考えるNGOが行った記者会見でした。ブローカーがNGOからお金をもらうために、大勢の脱北者をでっち上げたのでした。

ヨンスは大使館の係員に「お金はいつもらえるのでしょう」 と尋ねますが、係員は「お金は韓国に着けば一定額支給されます」と答えます。 話が違うじゃないか。インタビューを受ければお金がもらるはずじゃないのか。「あの男性に会わせてください!」と係員にいいますが、係員はヨンスが言うブローカーが誰なのか。またお金の話も全く知らないと伝えます。

大使館の係員の言葉に驚愕するヨンス。そして必死になって係員に頼みます。「手を貸してください、助けてください。 妻が病気になっていてお腹には赤ちゃんがいて・・」と訴えますが係員はどうすることもできません。「だったら、ここから安全に出してください!」とヨンスは頼み込みますが、係員は出すことも出来ないといいます。「ここを出れば、すぐに公安に逮捕されます」

ブローカーに騙されたこと怒り心頭のヨンスです。約束していたお金も貰えず、おまけに北にも帰ることはできません。「公安に捕まってもいいから、北に帰る!」ヨンスは叫びながら大使館を出て行こうとしますが、一緒に来た仲間たちが必死にヨンスを引きとめます。

北朝鮮では、母を失ったジュニは家にあった家財一式全部を近所のおばさんに売ってもらいます。近所のおばさんは「たいして、お金にならなかったの」と気の毒そうにジュニにいいますが、ジュニは何も言わずに家を出て行きます。「行くあてあるの?」と涙ぐみながらジュニに声をかけますが、ジュニは何も話すことなくその場所から去って行くのでした。